印刷で高品質なシリコンゲルマニウム半導体を実現

ー超高効率多接合太陽電池の飛躍的な低コスト化に貢献ー
東北大学金属材料研究所の藤原航三教授は、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学大学院工学研究科の福田啓介博士前期課程学生(研究当時)、宮本聡特任講師、宇佐美徳隆教授、大阪大学大学院工学研究科・東洋アルミニウム半導体共同研究講座のダムリン マルワン 特任教授(東洋アルミニウム株式会社シニアスペシャリスト)、奈良先端科学技術大学院大学の浦岡行治教授らとの共同研究において、高品質なシリコンゲルマニウム半導体を非真空で実現することに成功しました。

硫黄の化学状態を50ナノメートルの高分解能で捉える計測技術を確立

ーリチウム硫黄電池の反応・劣化メカニズムの解明に期待ー
東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センターの高橋幸生教授(理化学研究所放射光科学研究センター チームリーダー、金属材料研究所先端エネルギー材料理工共創研究センター)と石黒志助教(理化学研究所放射光科学研究センター 客員研究員)、東北大学大学院工学研究科の阿部真樹大学院生(理化学研究所放射光科学研究センター 研修生)、住友ゴム工業株式会社の金子房恵博士(東北大学多元物質科学研究所 助教)と岸本浩通博士、理化学研究所放射光科学研究センターの初井宇記チームリーダー、高輝度光科学研究センターの為則雄祐室長らの共同研究グループは、リチウム硫黄電池正極材として開発された含硫黄高分子粒子の内部における不均一な硫黄化学状態を非破壊で可視化することに成功しました。

室温で実用的な特性を実現したLiイオン電池用高分子固体電解質の合成に成功

ーミクロ多孔膜と光架橋高分子電解質の複合化で達成ー
東北大学材料科学高等研究所の藪浩准教授(ジュニアPI、東北大学ディスティングイッシュトリサーチャー、同大学多元物質科学研究所兼務)、グレワル マンジット シン助手、および同大学金属材料研究所の木須一彰助教と折茂慎一教授(材料科学高等研究所長)の研究グループは、ミクロンサイズの孔が蜂の巣状に空いた厚さ数ミクロンの高分子多孔膜と、光架橋性ポリエチレングリコール系高分子電解質を複合化することで、Liイオン伝導度が液体と同等で実用的に十分な10-4 S/cmクラスで、広い電位窓(4.7 V)、高いLiイオン輸率(0.39)を実現しました。

藤原教授、フランスのエクス・マルセイユ大学に客員教授として招聘

藤原航三教授(太陽エネルギー変換材料研究ユニット長)は、2022年5月18日から6月17日までエクス・マルセイユ大学(Aix-Marseille Université)のマイクロエレクトロニクス材料・ナノサイエンス研究所 (IM2NP; Institut Matériaux Microélectronique Nanosciences de Provence)(Marseille, France)に客員教授として招聘されました。

リチウムやナトリウム金属の針状析出発生抑制に成功

李弘毅 特任助教、村山将来 大学院生(当時、大学院工学研究科)および市坪哲 教授は、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩をリチウムイオンやナトリウムイオンを含有する電解液に添加することにより、一価カチオン(陽イオン)の溶媒和構造が改変され、リチウムやナトリウム金属析出の活性化過程が制御されて、平坦な析出形態を維持できることを発見しました。これは、金属負極電池に向けた新たな電解液設計指針を与えるものです。

特定のレアメタルだけには依存しないリチウム蓄電池正極材料の合成に成功

河口智也 助教、卞篠(Bian, Xiao) 氏(東北大学大学院工学研究科修士課程学生)および市坪哲 教授らは、従来のように少数の元素種を混合するのではなく、発想を逆転させ、多数の元素を同時に混合してエネルギー利得(配置エントロピー)を高めることで、層状酸化物構造で構成される単一の相からなる正極材料の合成に成功しました。これにより、これまで利用が困難であった元素が利用可能になるだけでなく、新たな物性の発現や、分解抑制による安全性の向上、特定元素への依存による商業的リスクを低減した、新規な材料開発が可能になると期待されます。